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不眠症の対処法(よりよい睡眠のために)  2001年1月15日更新

寝付きが悪かったり、中途で目が覚めてしまったりする人は、非常に多いのですが、それを簡単に改善するようなマジックはありません。同じような工夫がある人にはうまく働き、ある人にはかえって逆効果であることさえあります。ただ、良い睡眠を取るために、下記のような工夫を紹介しますので、ご自分に合うものを見つけてみて下さい。

1.眠ろうと思わないこと。リラックス。
睡眠は記憶に似ていると言われます。覚えていなければならないことは、すぐ忘れてしまうのに、忘れたいことは、なかなか忘れられません。それと同じように、眠ってはいけない時には、つい居眠りしそうになるのに、眠らなくてはいけないと思うと、どんどん目が冴えてくるというのが、万人が経験することです。基本的には睡眠は、放っておけば必要なだけ体が取ってくれるものです。ですから、よい睡眠が取れる環境を整えることは重要ですが、ベッドに入った後は、眠ろうとしないことです。目を閉じて静かにしていれば、体の安静は取れるのだから、ことさら眠る必要はないのだと、気持ちを楽にすることが重要です。羊を数えるのも同じ効果があるのでしょうね。

2.睡眠を毎日、同じ時刻に、規則正しく取る。
実際の行動面でもっとも大切なのは、できる限り毎日規則正しい時刻に睡眠が取れるようにすることです。不規則な睡眠の取り方をすると、体内時計が進んだり遅れたりを繰り返し、その度に無理がかかるからです。1.に書いたように、横になっていれば体の疲れはとれますから、眠くないからといって、深夜まで夜更かしして起きているのではなく、決まった時刻にベッドに入り、目を閉じる癖をつけ、また、朝も休日だからと、お昼近くまで眠るのではなく、同じ時刻に起きる努力をします。また、睡眠時間は個人差が大きいものですし、また普段8時間眠る人でも、仕事が忙しくなれば、5−6時間の睡眠で、数ヶ月、多少の日中の眠気以外は何の問題もなく過ごせるものです。しかし、ほとんどの人が、望ましい睡眠時間(日中、あまり眠くなることもなく、疲れもたまらないという意味=>Q&Aの項目参照)よりも短い睡眠しかとっていないのが現実のようです。あらっぽい書き方をすると、最低でも7時間はベッドの中にいる時間を作れないと、長い目で見ると体と心に問題をきたすことがあるようです。なおこの項目については、リズム障害の項も参照して下さい。

3.具体的な睡眠時間の取り方
上述のように、規則正しく睡眠をとることが必要とわかってはいても、残業が続き睡眠時間が短くなることはよくあります。その場合でも、できる限り24時間の周期を保つ工夫が必要です。具体的には、できる限り、最低限、数時間は同じ時間帯に睡眠を取るようにすることです(コア・タイム・スリープと呼びます)。本来は体温測定をして、それが最低になる時間帯の前後3−4時間をコア・タイムとし、その時間帯は必ず眠るようにするのですが、現実的には、自分の生活パターンを考え、一番遅くとも、ベッドに入れる時間を設定して、そこから5時間程度をコアタイムに設定して、それを守るようにします。この時間を守れない日が避けられない場合も、それを週に1日以下に制限することが重要です。

4.午後のカフェインを減らす。
寝付きが悪く睡眠時間が短くなると、午後眠くなり、ついついコーヒーを飲み過ぎになる人も多いようです。眠る前にコーヒーを飲んでも良く眠れることもあるから、私には関係ないという方も多いのですが、それは間違っています。カフェインの覚醒効果に耐性の人はいませんし、また効果は意外に長く続きます。できれば、午後3時以後は、コーヒーをやめて、夕食後も緑茶などを極力避けて下さい。

5.お酒は、控えめに(適量に)する。
ごく少量の飲酒、具体的にはビール1缶程度までなら、寝付きをよくし、その後の睡眠にはあまり影響を与えないことが知られています。しかし、それ以上の量では、睡眠後半の睡眠の質が悪化し、中途覚醒が増えますし、たとえ目が覚めることはなくても、時間の割に、睡眠の充足感がなくなり、睡眠不足となります。ビールなどでは尿意による覚醒も悪影響があります。アルコール依存症では、不眠が必ず起きることも知られています。また、睡眠薬の多くが、アルコールとの併用で、作用が異常に強くなったり副作用がでることも知られています。ですから飲酒は控えめにして下さい。 睡眠薬を飲むより、お酒で眠った方が体によいと考えている人が、医師の中にまでいますが、これは間違った考え方です。

6.身体的・精神的緊張とストレスの軽減
適度の運動をすることは、身体の疲れと精神的なストレスの発散につながり、睡眠を促進します。しかし、寝る前の時間の激しい運動は、かえって神経の緊張を高めて逆効果になることもあります。同じように、眠る前に精神的に緊張したりストレスを受けることも避けるべきです。午後11時まで残業をして疲れても、12時にすんなり眠れる人は少ないはずで、たとえ疲れ果てて眠れたにしても、睡眠の質はかなり悪化します。

7.寝室の環境
寝室の温度・湿度、明るさ、騒音なども、当然、睡眠の質に影響します。また、朝の寝起きが悪い人は、朝日が当たるようにすることで、自然に、朝早く目が覚めるような工夫もできます。

8.睡眠の場所
旅先で枕が変わると眠れなくなると、昔からよく言われます。睡眠には条件付けが為されることが知られていて、寝室で横になると、別の場所で横になるのとは違って、昼でも眠ってしまうこともあります。ですから、良い眠りを取るために、いつも同じ安心できる場所で眠ることが勧められます。しかし、逆に床に入るとかえって目が覚める人も多く、こういうことが続くと、「床に入ると目が覚める」という不安を伴う条件付けがされます。このような場合には、眠る場所を変えることも効果的になります。またいつも同じ会議室で同じ場所に座ると、すぐ眠くなる人の場合も、時には席替えをしてもらって社長さんが座っている場所に座れば、眠くならなくなることもあります。

どうですか?ここまで、読んでみて、試してみようと思うことがありましたか?もし、この程度の工夫では、だめそうだと思ったら・・・

9.薬物療法
これらの工夫だけでは、睡眠障害が改善しない場合は、積極的に医師に相談して睡眠薬を服用してみて下さい。その場合、医師の指示に従い「上手な」飲み方をして下さい。アルコールの項にも書きましたが、現在の睡眠薬は、アルコールなどよりは、よほど安全で、依存性もありません。いろいろな統計がありますが、不眠に悩む人は人口の2−3割と言われていて、非常にありふれた症状で、現代の社会ではある程度、不可避なものでもあります。安易に薬だけに頼ることを勧めるわけではありませんが、私の考えでは、「安易に頼りすぎる人」よりも、「薬を嫌いすぎて」あるいは「薬の飲み方が悪くて、現代の良い薬の恩恵に預かれず苦しんでいる人」の方が多いと思います。睡眠薬の良い飲み方については以下に記しますが、最低でも、初めて睡眠薬を飲む方は、初回は、必ず夜の早い時間に内服して下さい。睡眠薬を、1−2回だけ飲んで嫌いになってしまった人の多くは、深夜になって眠れなくなってから内服して、翌日の午前中に薬が残り、嫌になることが多いのです。これは、もともと飲み方が間違っているのです。
なお、睡眠薬の処方は一般の内科でも行いますが、どこを受診するかは、
Q&Aの項目を参照してください。

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