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睡眠薬について     2000年12月1日更新

睡眠薬と呼ばれているものは、現在では、ほとんど、精神安定剤の仲間です。精神安定剤には、高ぶった神経を抑える鎮静作用と、眠くさせる催眠作用があるわけですが、この2つの作用のバランスは薬の種類によって異なり、眠くなる作用が強いものを睡眠薬として用いています。ここで睡眠薬と私が呼んで説明するものは、その意味で全て精神安定剤(と呼ばれてきた薬)の一種です。
睡眠薬で一番重要なのは、その効果時間と内服する時間です。非常に短い時間(2−3時間)のみ効くものから、短時間、中時間、長時間と、数種類に分類されます。寝付きが悪いだけなら、超短時間作用型の薬でよいわけですが、明け方早く目が覚めてしまうようなタイプの不眠症には、やや長く効くものが必要です。しかし、効果が長すぎるものを飲んだり、あるいは、深夜過ぎに内服をすると、翌日の午前中まで薬の効果が残り、午前中は眠く、午後から夕方になって目が冴えて、また翌日の夜の寝付きが悪くなるという悪循環も起きます。ですから、超短時間作用型のもの以外は、目安として深夜12時を過ぎたら内服しない方がいいわけです。そのため、「眠れないから飲む」のでは遅すぎることが多いので、「眠るために飲む」ようにする必要があります。
さて、睡眠薬にはいくつかの誤解があります。確かに不眠症は、それだけで死んでしまう病気ではありませんが、生活を質を非常に悪くしうる病気です。薬の濫用は慎むべきですが、上手に使えば、睡眠薬は非常に有用な薬です。下記のような迷信から、睡眠薬を避けすぎてしまうのはもったいないことです。

1.睡眠薬には依存性があるか?
昔(30年以上前です)よく使われていたバルビタール酸系の睡眠薬は依存性が強いことから、睡眠薬というと、麻薬のように、量がどんどん増えてしまう怖い薬だと思われています。しかし現在使われている薬には、依存性はほとんどありません。耐性と言って、長く飲んでいると、効果がやや弱くなることはありますが、どんどん量が増えてしまうことはありません。通常、効果が弱く感じられるようになった場合は、不眠症が悪化していることが多いです。
なお蛇足ですが、困ったことに、「依存性」という言葉を「耐性」と同じと誤解している人が医師の間にもたくさんいます。依存性とは、その薬が必要なくなっても、その薬の作用が欲しいために、その薬をやめられなくなる状態を指します。典型的には、麻薬がそうですし、お酒・タバコ(つまりアルコール、ニコチン)にも強い依存性があります。上述のように現在の睡眠薬にも耐性や反跳現象はありますが、依存性はないとされています。つまり不眠症が治ったのに、薬を止められない人はいません。ただ、不眠症そのものが治りにくい場合に、長く飲むことになることもあります。これは、例えば高血圧症が治にくい病気なのでその薬は年単位で飲む人が多いのと同じで、血圧が下がれば、降圧剤は止められるのと同じです。

2.睡眠薬より、お酒の方が安全か?
医師に処方されないと買えないような睡眠薬より、誰でもどこでも買えるお酒の方が安全だから、お酒で寝付きをよくした方がよいと考える人がいますが、これは間違いです。ごく少量のアルコールは、気分をリラックスさせて寝付きをよくしますが、少しでも量が増えると、寝付きはよくなっても、その後の睡眠の質を悪化させることが知られています。アルコール依存症で困る症状のひとつが不眠症なのです。

3.睡眠薬は量をなるべく少なくして、眠れない日だけ飲む方がよいのか?
薬には副作用もあるので、確かに量を減らした方がいいかもしれません。しかし、飲んでも眠れない量しか睡眠薬を内服しないのでは、効果がないです。眠れない日だけ飲むのも、うまくできれば構いませんが、薬を飲まないで我慢して、眠れないので深夜になってから薬を内服するというのは、たいてい逆効果になります。眠気には波のように振幅があり、眠気が強くなる時間に睡眠薬を飲めば、少量でもよく効くはずです。24時間のリズムがしっかりしている人の場合、その眠気のピークは、通常21時から23時のあたりです。深夜を過ぎると、かえって眠気がなくなり、この時間に睡眠薬を飲んでもなかなか眠れないはずです。

4.睡眠薬で眠る癖をつけると、薬無しでは眠れなくなるのか?
睡眠薬を長い間内服した後に中断すると、反跳性不眠と言われる、離脱現象が起きます。そのため、確かに、長期間、毎日内服を続けた場合、急に止めると眠れなくなり、また内服を始めてしまうということが起きることもあります。そのため、睡眠薬は止め方も大切です。上手にやめれば、ちゃんと中止することができます。ただ、もともとの不眠症そのものが治っていなければ、ある程度の不眠症の症状が残ることは避けられません。不眠症は「不治」の病という面もありますから。ただ、実際の臨床では、何年にもわたって毎日、睡眠薬を飲まないといけない人は少なく、一定期間内服して、睡眠がしっかりとれて、精神的な健康を回復できれば、薬を止められる人がほとんどです。

5.睡眠薬の副作用は怖いか?
睡眠薬にもいろいろな副作用があります。その中で一番多いのは、翌日のふらつきや眠気です。これは、副作用というよりも、内服時間が悪いか、種類が悪い(もともと長く効くタイプ)せいで起きてくるものです。現在の睡眠薬は精神安定剤の中でも、ベンゾジアゼピンと呼ばれる薬をもとに開発されたものが多く、この薬は、長期に飲んでも安全な薬のひとつです。見方によれば、睡眠薬は風邪薬より安全で、風邪薬は数日の単位で飲むことを前提に開発されているので、これを1ヶ月以上飲めば副作用が出現する可能性が高くなりますが、慢性疾患である不眠症の薬は、もともと数ヶ月ー数年という単位で飲むことを前提に開発されているので、長期間飲めるように作られています。


現在よく使われている睡眠薬

1.超短時間作用型(3時間程度の効果を持つ)
ハルシオン、アモバン

2.短時間作用型(6時間程度)
レンドルミン、デパス、リスミー、エバミール、ロラメット

3.中時間作用型(12時間程度)
ベンザリン、ネルボン、ニトラゼパム、ロヒプノール、ユーロジン、エリミン

4.長時間作用型(24時間以上)
ソメリン、インスミン

5.精神安定剤(中間作用型で、眠気を引き起こす作用は弱い)
セルシン、ジアゼパム、リーゼ

なお、この中で1.の超短時間作用型は、急に眠くなるので、飲んだ後、すぐに(30分以内)ベッドに行かないと、ベッド以外で眠ってしまうことさえあります。また、内服後、眠るまでの間の記憶を失うことも多く、これはアルコールと併用すると、非常によく起きます。ですから、睡眠薬とお酒の併用は危険で、また、内服後は、速やかに眠ることを勧めます。この記憶喪失の副作用のために、老人ではボケ症状を増強することがあり、1.の薬は避けることが多いです。

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