●ベルモントの高校生のレイプ事件
(人種差別、バス通学、そして、最近のティーンエイジャー)
(2000年9月29日にActib +HMJ mailing list に投稿・加筆)
今朝のボストングローブにベルモント高校の生徒の処分の記事が載っていました。地元なので気になって読んだのですが、ざっと訳すと、1998年、当時17歳でベルモント高校の3年生だった黒人の少年が高校生中心に40ー50人が集まったパーティに参加し、その場で知り合った同じ高校の1年生の白人の14歳の女の子と、その晩、セックスをした。彼は性交を強要したわけではないが、彼女がminorであったということと、ちゃんとした合意がなかった?ということで、彼女の両親の側が訴え、調査の末、彼は有罪、執行猶予1年間で、その間、外出時にelectronicbracelet(注1)をつけることを義務づけられた。彼の両親はこの処分に対して、「この処分は、何百年前からずっと続いている差別の続きで、黒人の男性が白人の女性と寝たら、いつもこうなるんだ。彼はその女の子の年齢も知らなかった。」と抗議し、弁護士も「ここはアメリカなんだから、今時の子供たちは、そのくらいのことをしている。回りに40−50人も友達がいて、その家の中じゅうで、みんな同じようなことをしていたのだ。」と弁護している。また、彼はベルモント高校のフットボールの選手で学校では人気者だったそうで、彼が訴えられた時に、同級生の親たちが彼の支援を始めて、裁判の経費として8,000ドルも募金が集まった。また「この処分は厳しすぎるので人種に対する偏見といわれてもしかたないだろう」と元判事もコメントしている。そうです。
ベルモントは、黒人がほとんど住んでいない町です。ですからこの男の子も、住所はボストンの南で、バス通学でベルモントに来ていたようです。ちょっと気になってうちの息子が通う小学校の名簿を見てみたら、生徒数約200人強の学校で12人が、Metcoシステムのバス通学(注2)で南の方(Mattapan,Dorchester,Quincyなど)から通っているようです。5%程度ということです。カリフォルニアでは、ヒスパニックが50%を超えて、マイノリティからマジョリティに変わったということですが、ご存知のように、昨年まで、ニューハンプシャーは、マーチンルーサーキングの日を祝日にしていなかったし、昨年もどこの町か忘れましたが、この近所の町で、黒人がDWB(DrivingWhileBlack)で逮捕されたという記事がでていましたし、このあたりの差別意識というのは、根強いのでしょうね・・・
注1:学校と自宅にいる時以外は、腕時計式の発信装置を常に持ち歩く必要があり、これにより、その時にいる場所が記録される。性犯罪者によく使われるらしく、こちらのドラマやコメディにも、よく登場する。24時間、行動を監視下におかれることになる。
注2:METCO program 人種間の融和促進・貧しい地域に住む、特に黒人に対するaffirmative action のひとつとして、ボストンの南(貧しい地域で黒人が多く住む)から、北・西の郊外(白人が多く教育レベル・家賃の高い地域)へ、生徒をバスで通学させるシステム。州と町がお金を出し、希望者の中から一定の人数をバス通学させる。一度、システムに入ると、公立学校のシステムが続く小学校から高校まで、一貫して同じ町に通学させる。受入れる人数も町によって異なる。詳細は下記参照。これによると、ベルモント市は120人(人口27,000、全生徒数3600人中の約3.3%)を受け入れていて、全体で3200人程度が、このプログラムに参加している。
http://www.doe.mass.edu/lss/news2000/metco.html
なお、ボストンのバス通学そのものには、悲惨な歴史もある。詳細は、お勧めの本「All Souls」の項を参照のこと。
●経口中絶薬と、モーニングアフターピル
(2000年9月29日にActib +HMJ mailing list に投稿・加筆)
昨日・今日の一面トップにRU486という経口中絶薬が、アメリカでも承認され11月から使える見込みだという記事が出ていて、それが大統領選での争点にもなっています。(もちろんブッシュが反対、ゴアが賛成)この薬、もう10年以上前からヨーロッパでは認可・販売されていますが、アメリカの会社もヨーロッパの会社も、政治問題になるのを恐れて、アメリカでは売ろうとしなかったそうです。そのため、今回、販売するのは、販売権を譲り受けた、女性のための人権団体なんだそうです。これは異例ですね・・・日本は産婦人科の先生の反対が強いですが(中絶は自由診療の部分で、もうかりますが、そのためなのか・・・)、ここアメリカでも、やはりタブーなことがあるのですね。ぼくは日本にいた時の基礎研究がプロスタグランジン関連だったので、この薬も使ったことがあり(動物相手です!)、ちょっと興味をもって記事を読みました。また、通常より容量の多いピルは、危険日にセックスしてしまった時に、48時間以内に飲むことで、避妊をすることができるので、「事後避妊」として、Morinng-afterpillとして知られています。これは安全な薬ですし、ヨーロッパでは、OTC(処方箋なしで、誰でもいつでも買える)となっていますが、アメリカでは処方箋が必要です。これをOTCにしようという動きも始まっています。
●ジミー・ファンドとベーブ・ルース(バンビーノ)の呪い
(2001年7月12日にHMJ mailing list に投稿・一部改変)
ジミー・ファンドと、ベーブ・ルース(バンビーノ)の呪いの逸話は、ボストニアンの必須科目ですね!どちらも、詳細が、上に紹介した李先生の本に出ています。
一応、簡単に紹介すると、1948年にラジオの人気番組の司会者が、チルドレンズ・ホスピタルで癌の治療中の子供の部屋にインタビューに行き、「君は何が好き?野球?だったらボストン・ブレーブスは好きでしょう?誰が好きなの?」と問いかけ、それに続いて、彼の好きな人気選手や監督などチーム一同が、彼を見舞ったというエピソードです。そのあと、小児癌の撲滅のための寄付を募ったところ、寄付が殺到して、それが資金となり、1952年にDFCIが建てられたということです。当時は、アメリカでも子供への癌告知は行われていなくて、ジミーは偽名でしたし、まだ癌が治ることはまれな時代でした。そのため、彼は多分死んだんだろうと言われていたのですが、1998年、放送から50年目に、元気で生きていた本物の「ジミー」が名乗り出て、当時もらったブレーブスのTシャツをフェンウェイで公開したそうで、感動的な出来事だったようです。その後も、ジミーファンドの寄付は、毎年募集され、その時期になると、映画館で帽子を回したりもしていたそうです。
ベーブ・ルースの方は、1919年にレッドソックスが、ヤンキースにベーブ・ルースを売り飛ばして以来、ワールドシリーズで優勝できないという「呪い」です。ソックスは、1901-1918 までの間に、5回も優勝しているのに、その後、優勝はなく、逆にヤンキースは、その後、25回?も優勝しています。ボストン子が、ヤンキース戦がある毎に、Yankees suck! と叫ぶわけです。ベーブ・ルースも癌で亡くなりましたが、初期の葉酸拮抗剤の治験の著効例なのだそうです。
でも、今年は、呪いが解けたという噂があります!ソックスファンのDJが、呪いの解き方をモンゴル(??)の僧に習って、それに従って、エベレストの頂上にソックスの帽子を置いてきてもらったそうだからです。ところが、これまた余談があり、彼は、その時についでに、ヤンキースの帽子を頂上で燃やさせたんだそうです。当然、ニューヨークっ子は、怒りまくってますよね。さあ、後半戦は、いったいどうなるんでしょうか?(^_^)
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